K.A.N.T.A「社会のボートから降りて、感覚の世界へダイブしろ」
K.A.N.T.A「社会のボートから降りて、感覚の世界へダイブしろ」

K.A.N.T.A「社会のボートから降りて、感覚の世界へダイブしろ」

K.A.N.T.A(カンタ)は人を焚き付ける側の人間だ。

そして、今この原稿を読んでいる君は、これから新世代のトリックスターの
言葉にたっぷり焚き付けられるっていう意味で、ずいぶんラッキーだ。

ミュージシャンである彼は、作詞作曲にマスタリング、さらにはPVの ディレクターや、
プロモーションに営業まで全部自分でやっちゃうらしい。もちろんレーベルからの
声はかかるけど、あえて契約はせずインディペンデントな活動をキープしている。

作るトラックはなんて言うか、レイドバックでドープなHIPHOPと、electronicaや
bass系の音楽なんが出会って生まれたような、僕たちにフィットする感じ。
そこに乗っかるリリックはストイックでフリーキーな彼のライフスタイルが
反映されていて、MOUTAKUSANDA!!!なメッセージがたくさん詰まってると思ったよ。

DIYのスタイルで、クレイジーかつフレッシュな音楽をドロップし続けるその活動を
もっと詳しく知りたくて、彼のベースタウンである茅ヶ崎まで会いに行ってきた。

茅ヶ崎の山の中を歩きながら彼のライフスタイルや人生の考え方や今後の計画などについて、
とにかくたくさん話していると、1日では時間が足りないくらいだった。
新世代のトリックスターに会う景気付けに飲んだ、インドメイドのアルコールの
効果も少しはあったかもしれないけど、”楽しい時間はあっという間”っていうあの現象だと思う。

K.A.N.T.Aは間違いなく、人を焚き付ける。

今回のインタビューを読み終わったその時こそ
もう一度、興奮する人生を選び直すチャンスだ。

君がいつか計画していた、あのわくわくする企みを思い出すなら今だよ。

  • Photography / 北岡稔章
  • Edit& Direction & Text / 山若将也

手の届く範囲で面白いものを生み出して行く。
金がないことは、アイデアを形に
できない理由にはならないと思うんです。

K.A.N.T.A「社会のボートから降りて、感覚の世界へダイブしろ」

(MOUTAKUSANDA!!!) 今日の撮影はどうでした?

(K.A.N.T.A) 山の中に入って、雪や土、草木にまみれて…こんな撮影なかなかないですよ。エキサイティングでした。

K.A.N.T.Aさんが「雪に飛び込もうかな?」って提案してくれたりして、楽しかったですね。

まさか「もっと派手に転んで!」ってリクエストされるとは思わなかったけど(笑)。今日の撮影みたいな“手元にあるものでどうクリエイションするか”っていうやり方は、すごくいいですよね。しっくりくる。

折れた木や、落ちていた竹の枯れ木を組み合わせて背景を作ったり、風や木漏れ日などその場の環境をベースにイメージを作っていったり。刺激的でした。

お金を持ったとしても、自分の手の届く範囲で作るっていうスタンスは忘れたくないと思いますね。似たような話があって、アンダーグラウンドHIPHOPのシーンで、あえてチープな合成のvideo作るのが流行ってて、その映像がカッコいいんですよ。高い機材を買う金や高度なCG技術がなくても、身の回りのテクノロジーでヤバい映像を作ってるんです。

面白いですね。「映像はきれいなほうがいい」っていう固定概念にとらわれていない。

まさに"Do It Yourself”。パンクのスタンスですよね。荒削り感がかっこいい。で、面白いのは、ビヨンセがその映像スタイル取り入れたPVを作ってて。

アンダーグラウンドシーンがポップアイコンに影響を与えているんですね。ちなみにそのビデオは、どうでした?

それがぜんぜんダメで(笑)。D.I.Y.な手作り感がかっこいいのに…バカ高いハイスペックのカメラで撮ってもパンク感が全然出ない。4Kカメラ使っちゃダメなんですよ。「そんないい機材あるんだったら別のことすりゃいいじゃん」って。

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「STAND UP & SAY NO」のPVも、そんなD.I.Y.のかっこよさがあると思うんですよ。画面がセンターで二つに割れて、鏡合わせみたいになって。

実はあれ、編集ソフトの使い方がわからなくて、色々操作してるときにミラクルが起きてできたんですよ。

偶然の産物だったんですね(笑)。あの曲とビデオを作ったのはいつごろですか?

デビュー前ですね。実は制作費0円なんですよ。作った曲を広めるためにビデオを撮ろうと思い立って、SONYの安物のデジカメで撮影して。それでもスペースシャワーTVとかメディアで取り上げてくれたり、METROZUとかの海外アーティストが気に入ってくれたりもして。

0円でも面白いものは作れるし、それをちゃんと評価する人もいる。何かを作ろうと思っている人にとって、勇気づけられるエピソードですね。

資金やスタッフの限られた状況で面白いものを作れることが大前提で、そこにさらに予算や機材がプラスされたら敵ナシっていう考え方。“DIYでいかにフレッシュなものを作るか”が勝負だと思ってます。金のない状況って、良い物を作れない理由には全くならないから。

ビヨンセの方法はプロセスが逆なわけですね。

好きなことって、つまり得意なことなんですよ。
それを死ぬ気で突き詰める、ただそれだけ。

楽曲制作はもちろん、ブッキングやプロモーションにレーベル運営まですべて一人でやっているんですよね?

そうです。資料流したり、プロモーションや、ブッキングも全部俺の仕事なんですよ。打ち合わせも営業も自分でやるし。だからやりたいことの優先順位はつけないと、とは思います。

よく時間がありますね。

そりゃ、本当はスタジオでただ音楽だけ作ってたいですよ。だけど、今はそれじゃ通用しない時代だから。「曲作れます、あとは興味ないし分からないです」じゃダメ。音楽に限らず「やりたいことしか興味ない」じゃシステムに良いように搾取されるだけだから。「これだけやりたい、あとは知らない」は思うつぼです。だからレコード会社や事務所のオファーがあっても、簡単にYESとは言わない 。

エージェントやプロモーターが担当する分野までやるって、大変ですよね。誰も何の保証もしてくれないわけだし、動いてもお金になるとも限らない。経済的にキツい状態は経験しなかったんですか?

思い切って言っちゃいますけど、今でもキツいですよ。経済的にはヤバい。稼ぎは毎月家賃と光熱費と食費で消えて行くし、娯楽って言われるものには全く使ってない。じゃあ何を優先すんの?って自分が遊ぶ金よりも、子供。子供の服買ってあげることとかが大事になってますね、今は。

メディアを通して見るK.A.N.T.Aさんからは想像できないですよね。CDをリリースして雑誌やテレビに出てる=いい生活してるって思う人も多いだろうし。

そう思われていいんですよ、実際の俺がそこに近づいていけばいいっていうか。逆に経済的にキツい時期がちゃんとあるってことに感謝してて。本当にヤバいときは何回もあったけど、最後には誰かが俺を助けてくれたんです。俺は結局ひとりじゃ何もできないし、人に助けられてる。そう気づけたのはすごく大きい。きれいごとじゃなくて、本当にそう思います。

ちょっと抽象的な質問になりますが、K.A.N.T.Aさんにとって音楽とははどういったものですか?

音楽はラッキーなことに、頭で考えなくてもいいアウトプットができるツールだと思っています。

必ずしも音楽自体が目的じゃなくて、アウトプットの手段としての音楽っていう面があるんですね。

そうですね。音楽意外にも形にしたいアイデアはたくさんあるんですよ。だけど、それを実現させるためには、まずは世の中にK.A.N.T.Aっていうブランドをアピールして認められないと。
だって、何も作ってないヤツが他のアーティストやクリエイターに「こんなプロジェクトを考えてるから協力してほしい」って言っても、なかなか共感してくれないですよね。アイデアを形にするには、人の心を掴まなきゃいけない。人を動かすためのトリガーが必要なんです。俺の場合はそのトリガーが音楽。今日だって、俺が音楽をやっているから、インタビューしたいって思ってもらえたわけだから。

K.A.N.T.Aさんは以前はサッカー選手としてアルゼンチンで活動していたんですよね。トリガーとしてサッカーを選んでいたっていう意識だったんですか?

そうですね。ただ、俺にとってサッカーと音楽では、同じクオリティのパフォーマンスにかかるエネルギーが全然違うんですよね。サッカーをやっていた頃は180%努力していた感覚。努力だけで無理矢理トリガーを作るってことも、できないことはないんですよね。音楽の場合は、なぜか出来ちゃうんですよ。

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向き不向きがある。

そうです。自分に向いているものが=音楽と気付けたっていうのはやっぱり大きいかった。音楽を選べたことは本当にラッキー。みんなそれぞれ得意な物があると思うから、それを見つけられるかどうかっていうこと。

得意なものを見つけるコツってあるんですか? やっぱり色々なものを試してチャレンジしていくってことが必要なんでしょうか。

いや、みんなよく考えれば、本当はもう答えを知ってるはずですよ。

答えというと?

“自分が好きな物が得意な物”だって、感覚的に気づいていると思うんですよ、きっと。アンサーに気づいているのに、怖いから見ないフリしてるだけなんです。人と比べちゃうから。

「俺はあの人みたいなものは生み出せない」とか、逆に「あんなヤツが評価されている世界は俺の居場所じゃない」とか、ですね。

そう、どっちも人を理由にして勝手にブレーキを踏んでる状態ですよね。でも、本当に好きなものだったら、人のことなんてどうでもいいじゃないですか? 粛々とやり続けるだけ。今の社会のシステムは、「この世は他人との競走だよ」って見せかけてくるから。コンペティションを仕向けるシステムに騙されちゃいけない。本当は誰も敵じゃないし、比べるべき相手は以前の自分、それだけだから。

では、好きな物で成功するためには、何が必要だと思いますか? 好きなもの=得意なものと言っても、好きっていうだけでうまくいくとは限らない。

「好きだ」って言ってても、ちょっとトライして挫折したら、挫折しっぱなしの人が多いんですよ。でも、それじゃ正直甘い。ダイヤモンドって最初はただの真っ黒の石で、それをとことん削って磨いて光らせるわけで。命削って取り組まないと、シャインは生まれないから。俺は音楽始めたときに全部をかけた。死ぬ気で磨いて、音楽を光らせる。 磨く前に諦めるのはもったいない。

好きなことを、簡単に手放さないことが大切だと。

間違いなく言えるのは、好きなことを職業にすることは、ただのラッキーじゃないってこと。無理矢理でも仕事にさせるための意地と努力と忍耐、プラスα才能。才能はプラスαのものだと思ってますから。才能だけあっても意味ないんですよ。種を手に持ってても花は咲かないでしょ? 埋めただけでも花は咲かない。

花が咲くのを待つんじゃなくて、咲かせる?

そう、咲かせるし、花が開くまで絶対にやめないし、諦めない。本当に好きなことだったら諦められないから、きっと。(奥さんから電話の着信)あ、ちょっとすみません。もしもし。わかった、じゃあオムツ買って帰る。

オムツっていう単語と、今話しているテンション内のギャップがすごく面白いですよね(笑)。

でも、この両方ある感じも気に入ってるんですよ。多分俺ひとりだったら今ここにはいないと思うし。奥さんが一緒にいるからバランスがとれてる。俺一人だったらキチガイだから。家族ができて、いい意味で甘えられるようになったと思います。

人、街、空間……感覚が求める環境に、
物理的に体を移動させていくこと。

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MOUTAKUSANDA!!! MAGAZINEを読んでくれているのは30才前後くらいの人が多くて、「何かやりたい、日常を変えたい」ってモヤモヤした思いを持っている人が多い。お店を始めたい人もいるし、絵を描いて生きて行きたい、写真ともっと向き合いたい…とか。でも生活のことを考えると、どこか踏み切れない部分があったり。

そこをダイブしなきゃいけないんですよ! 感覚が求めていること、好きなことに向かって踏み出していかないといけない。いい例え話があって、「羊の法則」って知ってますか? 10匹の羊がいて、うち6匹の羊が右の道を選んだとする。そしたら残りの4匹も、進路を変えて右の道に行くんです。その性質は人間も同じで。

数の多い方に、人は流れやすいっていう。

人は数の論理に流されるんですよ。だから、まず俺たちが6匹の羊にならないといけない。俺やMOUTAKUSANDA!!! MAGAZINEや、これを読んでくれてる人たち、何かをクリエイションしてる人、意思を持って活動している人。俺たちが最初に飛び込む。ダイブした人たちがライフスタイルを作って、「大丈夫だよ、うまくいくよ。ちゃんとごはんも食べれるよ」って見せていく。それを見たら、みんな怖くなくなって飛び込めるから。
ダイブして、何かに本気で取り組むのは怖いかもしれない。発狂するほどキツイ瞬間もあるかもしれない。でも、どんな瞬間も諦めたらいけないし、絶対なんとかなると思ってるし、なんとかするって覚悟してる。誰かが何かをしてくれるのを待ってるだけじゃなくて、自分でなんとかする覚悟を持ち続ける。そこを忘れずに。そうしてきたからこそ、俺のことを助けてくれる人がいたんだと思うし。

そうやって苦しい思いがあっても、ミュージシャンとして表現して生き続けているわけですよね。その根っこにあるものって何なんでしょうか?

自分が生まれてきた理由にただ従っているだけっていう感覚なんですよね。イメージ的には、ふわっと舞ってる葉っぱのような感じ。波に乗るみたいに生きるというか、風に任せるというか。昔は「自分は特別だ」って感覚があったんだけど、今はその考えも変わって、もっと自然体に気負わずにいます。

その風や波はどうやって感じるんですか?

「自分が呼ばれる場所」がヒントだと思います。感覚的にあるじゃないですか、気になる国や街や人だったり。その感覚を頼りに。

確かにK.A.N.T.Aさんはすごく感覚的だと印象を受けました。5年後10年後を見越たプランを立てて進めるというよりは、動物的な直感に従っているというか。とはいえ、感覚やひらめきを頼りに行動するのはすごく怖い要素もあると思うんです。

今は感覚に従って生きるほうがいいと思ってます。計画通りいかずに挫折を感じた経験、山ほどしたから(笑)。それに、下手に打算的になるとシステムの思うがままに操作されちゃうとも思いますしね。今の社会には、人間本来の感覚を麻痺させる物があふれているから。マスメディア、経済・政治の仕組み、社会的ルールやマナーとされているものとか…全部そうですよ。「ドキドキする」「パッションを感じる」そんな感覚に従うことで、システムの支配や洗脳から逃れて、自分らしく主体的にいられる。
それに、感覚の力、メンタルのパワーってすごく大きいですよね。強く願っていれば、自然と自分の思いが叶う環境を作ろうと行動するはず。会いたい人がいそうな場所や、刺激的を与えてくれる空間に出かけるとかね。「この人と会いたい」って思ってると、本当に出会えちゃったりするのは、そういうことで。だから、感覚の求める方を信じること。そして、実際に行動することが大事。部屋であぐらかいて念じてても何も起こらないですからね。

確かに、強く念じて意識的でいないと、何か人生を変えるチャンスがすぐそばにあったとしても、気づかずスルーしてしまうかもしれない。小さなきっかけをキャッチできないですよね。

人生が花開くような出来事は、いつ起こるかわからないですから。いつ起こってもキャッチできるように、感覚のアンテナを張って実際に行動すること。そして先のことを考えすぎない。 「経済的に苦しいならバイトして金作っといた方がいいんじゃない?」って言われたこともあったけど、「俺がそれやっちゃうって、違うでしょ」って自分でわかってるから。
どんなに金がなくても絶対なんとかなる方法と、スキルが俺にはあるって、そう信じ続けてとことん折れない。マジで最後の笛がなるまで絶対諦めない、というかむしろ鳴っても諦めないことが大事。みんな壁にぶつかって勝手にゲームオーバーのつもりでいるけど、俺にとってゲームオーバーなんて死んだ瞬間だから。

ちなみに今までゲームオーバーを覚悟したときって?

今月家賃払わないと家を追い出されるっていう状況になったときは危なかった。31日の夜中に家賃の倍の値段で持ってたトラック(楽曲)をとっぱらいで買ってくれる人がいて、ギリギリセーフ(笑)。そのときは泣きながら嫁のところに駆けつけましたよ。電車もない時間で、外苑から中目黒まで涙流しながら走って行って「なんとかなったよ! だから言っただろ、なんとかなんだよ!」って(笑)

楽しかったら徹夜なんて余裕じゃないですか。
今、好きなことに向かってダイブしないと、ずっとつまらないままだよ?

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ゲームオーバーのタイミングは自分次第。逆に言えば「まだ終わってない」って思っている限りは一生終わらない。

そう、どれだけ頑固にクソしぶとく折れずにやるか。折れようと思ったらいつでも一瞬でできるから。今じゃなくていい。

家族や年齢など、お金をつくることにシフトチェンジする理由、たくさん考えられますもんね。

普通だったら子供が出来た瞬間に就職先探そうって考えるんだろうけど、俺は逆に「このタイミングで子供出来たってことは近いうちに大丈夫になる」って思ったんです(笑)。そこでビビってダイビングやめて、ボートの上に乗っちゃうのは違うだろう、と。
俺はダイブしつづけて、ダイブした先の海に素晴らしい竜宮城があることをみんなに見せたい。ボートの上にいるやつらに、「みんなおいでよ」って、「実は酸素ボンベなんていらないんだよ。勝手に酸素ボンベ必要って言われているだけだよ」って伝えなくちゃいけないから。

周りの人や社会に対するパフォーマンスとしての生き方も意識してるってことですよね。

もちろん。守りに入ったダサい姿は人に見せたくないし、自分が嫌いな自分になりたくないんです。「ここで諦めるのってK.A.N.T.Aとしてアリか?」って。
でも、何より、単純にめちゃくちゃ楽しいじゃないですか。どんなに忙しくても、徹夜しなくちゃいけなくても、楽しかったらそんなの屁でもないんですよ。そうやってると、同じような価値観で活動している人が自然に集まってきて、どんどん楽しくなって行きますよ。

確かに類は友を呼ぶって言うのは、良くも悪くも本当ですよね。

社会が証拠を示してますよね。戦争賛成、原発推進の人が集まったのが今の政府だから。さらに不思議なことに、元は違う価値観の人も、組織の中で変わっていくんですよ。そういう環境にいるから、順応してしまう。
怖いですよ、自分の嫌う自分になるのは。本当に危険。だからこそ、感覚の求める環境に自分の体を置かないといけない。好きなものに飛び込んでいかないと。そうしないと、人生がずっとつまらないまま。

今回のインタビューを読んで「なんだじゃあ俺もやってみようか、好きなことに飛び込んでみようか」って考える人もいると思うんです。K.A.N.T.Aさんより上の世代の人は、焦りを感じたりもするかもしれない。

本当に、みんながそう思ってダイブしていったら最高ですよね。俺たち飛び込んだ側の人間がコントロールされている人間より多くなったら、ダイブした人の間で物事を回せるわけじゃないですか。
顔の見えない大企業やチェーン店に払っているものを、自分たちの手の中取り戻す。巨大なカンパニーより、信頼できる仲間の作った野菜やアートに対価を払う。農家もミュージシャンも同じくクリエイターだから。既存のシステムとは別のレイヤーで、飛び込んだ人たちの地下都市が成り立っていくイメージ。社会にビビらなくてもいい、自分たちのシステムを作り上げたい。

自分の感覚は近い場所はどこなのか、そこで何をするのか、どこでお金を使うのか…意識的であることは、すごく大事ですよね。

意識的な状態であること、プラス行動すること。待ってても何も起きないってこと、みんなもう気づいてるでしょ? 何かが起こるのを期待して待っている時間がもったいないですよ。アクシデントは自分で起こす。
もちろん、可能性でいうとチャレンジしても失敗することの方が多いですよ。でも、それって実は奇跡が起きる前に試されてるだけ。ブレイクスルーの手前で「そこでお前折れんの?この状況だけど、お前どうすんの? 辞めるの?」って。どっちを選ぶべきかは、自分の感覚が強烈に教えてくれているはず。

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ちなみにこの後のリリース予定はどんな感じですか?

新しいアルバムで発表するんで楽しみにして欲しいですね。今年はマメにリリースしていこうと。今KANTALANDっていう僕のレーベルで、月に一度リリースするっていうのを始めてて。スーパーバタードックのベーシストだったTOMOHIKO a.k.a heavylooperさんとのユニットとか、ウィリージャパンっていう、ジャマイカ人と日本人のハーフでリップスライムとかでドラム叩いているドラマーなんだけど、彼の弾き語りとか。チーム内のものを毎月1作品づつ作っています。KANTALANDのオフィシャルのページがあるんでそっちの方でマメに情報を公開していくつもりです。

あと、自動車のJeepの依頼で楽曲を提供したんですが、Jeepのテーマが「built free(ビルトフリー)」っていうもので。俺はそれにすごく共感して。 俺ら全員ビルドフリーで、なりたいものになんでもなれるんだよ。なぜなら俺はビルドフリーだから。自分自身は自由にどうとでも作れるんだよ、っていう。その曲のラップの部分の日本語の意味はこんな感じです。

(Let me tell u a bit story might give a answer or change your mind re design live your life out the boat)
少し俺の話をしてみてもいいかい?
これはあなたにとってアンサーになるかもしれないし、
考え方が変わって、再び生き方をデザインしなおして、
ボートを降りて生きる選択になるかもしれない

(I was broke like a monk in city full neon lights still hustling like a tiger in a killer fight)
俺はネオンライトの街の中で
まるでお坊さんのように金がなかった
今でもまだ虎どうしがゲージの中で戦っているみたいに
俺はハッスルしているんだよ

(milla right now image dreams come true getting paper from the cars that I love cool)
見ろよ、イメージした形は実現する
俺は俺がかっこいいと思った車の会社から
金をもらって曲を作った

(Keep your shine hard never walk the other side of the road that u feel wrong it's suicide dream and dive)
自分の輝きを常にハードに持ち続けろ
絶対に自分が思った逆の道は歩くなよ
間違ってる道を歩くなよ
なぜならそれは自殺行為と一緒なんだよ
夢を見ながらそれに飛び込めよ

今日のインタビューともリンクしてるんじゃないかな。

K.A.N.T.A(カンタ)

ラッパー/プロデューサー。MAJOR FORCEのK.U.D.Oを父親に持ち、12歳までの幼少期をロンドンで過ごす。18才でアルゼンチンのサッカーチームとプロ契約し、サッカー選手として活躍していたが、音楽に目覚め20才で帰国。2011年に自身のレーベルKANTALANDから1stアルバム『ROYAL NEW STANDARD』をリリース。BEAMS、MR.PORTER、G-STARなどが選ぶ日本のアイコンに抜擢されるなど、国内外からオリジネーターとして評価されている。自身で毎月新しいデザインとプロダクトを制作する一点物コレクション『K.A.N.T.A 1&0 PROJECT』をスタートし、MADE IN KANTALANDにて発売中。

K.A.N.T.Aは5/30のモウタクサンダ!!! マガジンの
OPENING PARTYにも出演する。
彼の生の言葉と音に触れに、ぜひ遊びに来て。