連載「DJ嶋田のぶんぶんのポップス50音順」第2回 <い>
連載「DJ嶋田のぶんぶんのポップス50音順」第2回 <い>

連載「DJ嶋田のぶんぶんのポップス50音順」第2回 <い>

地方都市和歌山を拠点に活動する私的シティポップDJ・嶋田のぶんぶん。
彼が愛してやまない国産ポップスを50音順に紹介する連載エッセイ。
NYやイビザにいるDJの名前を誇らしげに並べ立てられる奴と
自国の音楽を哀愁と羞恥とリスペクトをもって語れる奴、
どっちが愛せるかっていったら、わかるよね?
つまりそういうお話。
  • 文/DJ嶋田のぶんぶん
  • 編集・題字/山若将也

ナウシカのクローンである綾波レイとともに、
エヴァンゲリンと名付けられた巨神兵を操り、
ウルトラマンのいない現代で異世界から来た怪獣と
街を破壊しながら戦う碇シンジは 映画『風の谷のナウシカ』の
作画監督時代の庵野秀明自身。そして碇ゲンドウは宮崎駿。

言わずと知れた、夢と狂気の王国スタジオジブリでの
筆舌につくしがたい経験(トラウマ)を、うまく言葉にできない
感情にまかせてロボットアニメに昇華したものが、
『新世紀エヴァンゲリオン』だと信じているのですが、
とにかく、映画『エヴァンゲリオン 破』の巨大なスクリーン
いっぱいにエヴァが傾斜するビルを足場に駆け抜けるシーンには
ただただ、「紙に描かれたロボットの画(え)を動かしたい!」
というアニメーションの原始的な初期騒動を感じて目頭が熱くなりました。
これと同じ光景をどこかで見たことがある気がするのは、
デジャ・ブではなく、その前年宮崎駿が『崖の上のポニョ』で、
ポニョが波の上を駆け抜けるシーンで 一足先に到達していた境地。
その場所を示すのに、 故ブルース・リーの言葉を借りるならば、
「Don’t Think,Feel! 考えるな、感じろ!」。

というわけで、 「MOUTAKUSANDA!!!」と投げださずに、
ここまでスクロールを下ってくださった皆様を相手取り
始まりました、DJ嶋田のぶんぶんのポップス50音順。

高速道路インターの降り口に掲げられた看板広告、
ラブホテルにパチンコと葬祭場がこの街の最大公約数、
地方シティー和歌山から今晩は、DJ嶋田のぶんぶんです。

毎回50音順に一文字ずつ、 その文字からはじまる
ポップソングを紹介するこの連載、第1回「あ」に
つづく2回目は「い」!

ということで、沖田浩之で「E気持ち」!
※今回はライブバージョンでお届けいたします。

「俺をよろしく」「半熟期」「はみだしチャンピオン」に
「お前にマラリア」などなど、フロアを熱いと寒いが交互に襲う、
まさにマラリア的にヤバい名曲が雁首をそろえる(10年ほど前に
訳あってマラリアを患いましたが、本当に熱いと寒いが
2時間おきに襲ってきました)アイドル沖田浩之のデビューシングルが、
作詞に阿木陽子、作曲に筒美京平を迎えた「E気持ち」。

「死語」という言葉がすでに「死語」という現代において
「A=キス、B=ペッティング、C=セックス」の〈ABC〉から、
「D=出来ちゃった」を飛ばしてE気持ち!なんて
自分でキーボードを叩きながら
「28歳にもなって、一人夜な夜な何やってんだ」と 
己が因果にため息ひとつこぼれおちる死語解説ももはや蛇足!
ABCが何であろう!  考えるな、感じろ! E気持ちを!!
今の時期、振付を完コピして忘年会へ臨めば、一夜明けたら誰でもヒーロー間違いなし!

「A!B!C! A!B!C!」
(イントロでは左手!右手!クロス!×2回)

「A!B!C! A!B!C!」
(サビでは右手で三角形を描いて!)

「はぁーあーん」
(腕を回して)

「E気持ち!」
(何かをつかみとれ!)

・・・何をつかみ取るのかは君に任せる。
なぜなら、 その時にはすでに「何か」はベッドの中で君を待っているから。
なんてな「円楽のプレイボーイ講座」風にお別れ!(分らない人はYou tubeで検索!)

皆様Eお年を! まーたねー!

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第1回「あ」 小林旭「アキラでボサ・ノバ」